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「新しい奈良の工芸 展」開催中です!

長い歴史の中、寺社と人々の生活と共に歩み、時代に応じて変遷してきた奈良の『素朴』な工芸品たち。

今回は、奈良の『伝統的な工芸品』と、その技術や精神を受け継ぎつつ現代の感覚と独自の創造性により創作された奈良の『新しい工芸品』を展示しております。

約14種類の工芸品を通して、数々の繊細な技術を是非お確かめ下さい。

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<展示内容のご紹介>

“奈良を代表する『伝統的な工芸品』”

▼赤膚焼  http://www.pref.nara.jp/1383.htm

大和郡山城主の豊臣秀長が常滑の陶工を招いて窯を築いたのが始まりと言われています。乳白色の柔らかい風合いと奈良絵文様が絵付けされているのが特徴で、湯呑、花瓶、花器、水指、置物など、様々な作品が作られています。現在赤膚焼の工房は奈良県に6つ存在しているそうです。

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▼三方(宝)  http://www.pref.nara.jp/1392.htm

南北朝時代の頃、南朝の後醍醐天皇への献上物をのせる器として用いられたのが始まりとされています。明治初期には技術者が和歌山や近郷から集まり、三方・膳が多く製作されるようになりました。現代では、鏡餅やお月見団子をお供えする時に使われているのが印象的ですね。

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▼奈良墨  http://www.pref.nara.jp/1400.htm

奈良墨は室町期に興福寺二諦坊で持仏堂の灯明のススを集め、これにニカワを混ぜてつくったのが始まりです。墨づくりは毎年10月中旬から翌年4月下旬頃までの寒期に行われ、全国の書道家、水墨家等に供給しています。写経など、仏教文化と共に発展してきた奈良の炭作り。世の中の墨離れが進み作り手の数は減少しつつありますが、現在も固形墨の全国シェア率95%の実績を誇ります。

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▼奈良筆  http://www.pref.nara.jp/1382.htm

毛質に応じて配分・寸法を決めて混ぜ合わせ、毛組みに時間をかける「練り混ぜ法」により、穂先の仕上がりに絶妙な味がある高級毛筆に仕上がります。僧空海が中国から奈良へ筆の製法を持ち帰ったことがきっかけで、奈良で盛んに筆の製造が行われるようになりました。

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▼奈良晒  http://www.pref.nara.jp/1386.htm

奈良晒は、青苧(アオソ/イラクサ科の多年草)・苧麻(チョマ/イラクサ科の多年草)・精麻(大麻)などを紡いで糸にし、手織りした麻布を真白く晒したものです。僧侶の袈裟(けさ)用の需要で始まり、現在は正倉院紋様などを染めたのれんや、テーブルクロス、タペストリーなど室内装飾品が作られています。

 

 

▼高山茶筌  http://www.pref.nara.jp/1381.htm

室町時代、大和鷹山(現在の駒市)城主の次男、高山民部丞入道宗砌(たかやまみんぶのじょうにゅうどうそうぜい)が現在の茶筌の形を初めて作ったといわれ、わび茶の創造者と目される村田珠光、その完成者として知られる千利休らが茶道を広めると共に、茶筌作りも盛んになり、その技術が代々伝承されてきました。

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▼高山茶道具  http://www.pref.nara.jp/1397.htm

生駒市高山町では、茶筌と同じく茶道具が生産されています。伝統技術により、竹の優美さと弾力性を素材に生かした柄杓、茶杓などの茶道具類がつくられます。

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▼奈良一刀彫  http://www.pref.nara.jp/1398.htm

奈良人形ともいわれる、桧、桂、楠等を材料として、ノミで豪快に彫り上げた上に、金箔や岩絵の具等で極彩色を施しているのが特徴です。農楽、舞踊、鹿、十二支、ひな人形などを題材とした魅力ある作品が作られています。

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(大林杜壽園/大黒天 4寸)

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(土井志清/達磨)

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(大林杜壽園/十二支 一揃)

 

▼笠間藍染  http://www.pref.nara.jp/1396.htm

徳島県の蒅(すくも/阿波藍)を使って藍建てを行い染め上げる、昔からの手法でつくられています。今回の展示ではタペストリーやハンカチをご覧いただけます。

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▼神酒口  http://www.pref.nara.jp/1393.htm

奈良では江戸時代から吉野桧の背板でつくられ、御神酒徳利に挿して神棚に置かれますが、結婚式、上棟式などの縁起物としても飾られます。

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▼吉野手漉き和紙  http://www.pref.nara.jp/1384.htm

宇陀紙(うだがみ)、美栖紙(みすがみ)、国栖紙(くずがみ)とも呼ばれ、優れた風合いと粘りの強さが特徴の和紙です。漆鹿しから書道上、表装紙、草木染紙に至るまで、幅広い製品が作られています。

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“伝統の技術を受け継ぎ、新たな創造性を加えた『新しい工芸』”

▼磁器  / 土井 雅文(どい まさふみ)▼

こちらの陶器には鉄釉が使用されており、気持ちの良い青色と美しい銀色の光沢が一体になり目を惹きます。土井氏は暮らしに溶けんだ存在感のある器づくりを目指し、活動されています。

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▼奈良一刀彫  / 東田 茂一(ひがしだ もいち) https://www.monova-web.jp/naradoll-higashida/

「NARADOLL HIGASHIDA」というブランドを立ち上げ、現代の生活に溶けこみながらも一刀彫ならではの存在感が光る、モダンな作品を作る東田茂一氏。今回は繊細な彩色が印象的な、「大兜」と「立雛」をご紹介しています。

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▼漆工芸  / 杉村 聡(すぎむら あきら)▼

「日本の漆芸の素晴らしさを日本人に知ってもらい、もっと漆器を使用してほしい」という思いを込めて、作品をつくる杉村氏。繊細な蒔絵と螺鈿が施されたアクセサリーを是非、ご覧ください。

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▼吉野杉家具  / 森 幸太郎▼

鉋や吉野杉、桧に出会い、知れば知るほどに日本が育んできた技術や文化に惹かれたという森氏。樹齢100年を越える最上級の吉野杉を使い、一脚一脚大小様々な鉋で造形された椅子は、柔かな杉の質感と鉋による滑らかな曲線が、温かく優しいすわり心地を生み出します。

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以上、様々な製品が一堂に見れるボリューム満点な展示です。

皆さまもぜひ奈良伝統の技を間近にご覧ください(*^^*)

 

会 期 : 2017年11月2日(木)〜2017年11月14日(火)

10:30 – 19:00/最終日は17:00迄 水曜定休 入場無料

会 場 : monova gallery

場 所 :東京都新宿区西新宿3-7-1 リビングデザインセンターOZONE  4階

主 催 : 奈良県

 

written by iwashita