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2018年4月8日

国産傘メーカー:丸安洋傘訪問レポート~傘作りの現場にお邪魔しました!~

monovaでは「南国屋さん」と呼ばれている、大阪の国産傘メーカー:丸安洋傘株式会社。今、国内に流通している傘は、9割以上が中国産なのですが、そんな中で国産にこだわって傘づくりをしている、数少ないメーカーです。しかも生地の裁断、傘地を縫い合わせるところから、完全な傘の形にするまでを、全て自社で行うことができます。このような事のできるところは、ほとんどありません。

この度、先の神戸展示で関西に行くチャンスに乗じ、スタッフが訪問しました!

 

大阪の寺田町駅から歩くこと3分ほどのところに、南国屋さんはあります。

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入り口にこんな張り紙があり、初めてのメーカー訪問でカチコチに緊張していた心が少し解けたという余談も。

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中に入ると、5名ほどの職人さんが傘を作っている最中でした。

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これまで勝手に、年配の方が黙々と作っているイメージを持っていたのですが、そんなことはなく、若い職人さんもいました!若い職人というと見習い、という印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、その速さ、迷いの無さは、確実なプロの仕事です。

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写真の方は骨に傘地を止める、中とじという工程を行っていました。片手に糸切狭を持ち、目にもとまらぬ速さで生地を止めていきます。針と糸のさばき方は、熟練の職人のようです。本当は動画で紹介したいほどですが、手元のスピード感、少しでも伝わるでしょうか?(作業中に手元を撮らせてもらう際、「大丈夫ですか?手、止めましょうか?」と気遣ってくれる、大変優しい方でした!)

「(写真の方は)まだここに来て1年くらいやったかな?とっても筋がええんよ」と、monovaの窓口を担当している川口さんも絶賛。年配の方が多いと思っていたと伝えると、「うちは若い人たちがおるんよ。そこがとても良いとこやね」と、嬉しそうに答えてくれました。

ちなみに、この中とじや、傘生地を縫い合わせるときに使う糸には、水が染みないように蝋が引いてあります。触ってみると、確かに一般的な手芸糸とは違う手触りで、しっかりしています。中とじの際は、この糸を更に二本より合わせて使っています。

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職人さんが糸をより合わせていきます。

そして寄り合わせられた糸がこちら。まるでもともとこの太さの糸だったよう。傘に使われる布の目の細かさを考えると、かなりの太さです。

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また、傘によっては「ダボ」とよばれる小さな布パーツがついているものがあります。ダボは、傘の親骨と受け骨のジョイント部分につくもので、一番力のかかるこの部分の傘地の磨耗を和らげるものです。高級な傘にはついている、というパーツです。他にも陣した、と呼ばれる、傘のてっぺんにくる布部品や、ネームタグなど、傘には小さな部品がたくさんあるのです。こういった小さなパーツも、自社で作っています。

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台の上に段ボールをしき、その上に何枚も布を重ねます。抜型を当てて、ハンマーで強くたたきます。この工程を見せてくれたのは、若い男性の職人さん(東京で働いた後、地元に戻ってきて地元で働きたいと思ってハローワークへ行ったところ、南国屋さんを見つけて就職されたそう。ちなみに東京での勤め先は、monovaのとても近くだったとか)でしたが、かなり思い切り、数回叩いていました。とても力のいる作業です。

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ダボとダボの抜型。こうしてできたダボも、一つ一つ手作業で、骨につけられていきます。

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もちろん、傘生地の裁断も自社で行っています。傘生地は、木型で型を取って裁断していきます。そのため、ダボ付けなどを行っている横のスペースには、たくさんの木型が並んでいます。驚くのは、傘の大きさはもちろん、傘生地の種類によっても型が違うという事です。

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端が縫われた生地を2枚重ね、作業台にシワなく伸ばして置きます。そこに木型を当て、小刀で木型に沿って裁断していきます。

工程2

裁断は、熟練の職人でも集中していないとできないということですが、なるほど見ているとき、息を潜めたくなる何かを感じたのも納得です。また、裁断の時は、木型がずれないよう上からぐっと体重をかけるために、肩が痛くなる、と川口さん。ダボといい、この作業といい、傘作りには意外と力仕事が多いです。

また、木型自体も自社で制作しています。新しい生地で傘を作るときや、新しい大きさ、形の傘を作るときには新しい木型を作ることになるのですが、木型作りは一発で出来るものでは決してなく、傘にした時の生地の張りを見ながら、何度も何度も削って、一番良い形に整えていくのだと言います。南国屋さんの傘を差した方は、差した時のハリに驚く方がとても多いのですが、そのハリは、縫製だけではなく、妥協のない木型作りと裁断から生まれています。

 

裁断された生地は縫い合わされて行く(中縫い といいます)のですが、ここでは貫縫いミシンという特殊なミシンが使われています。普通のミシンとは違い、手で縫ったのと同じように生地を縫い合わせることができます。

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縫っているのを横から見ていましたが、なぜそうなるのかまったくわかりません。貫縫いミシンは現在もう製造されておらず、今あるものを大事に使っていくしかないとのことです。物作りの現場の話を聞いていると、こういった話は少なくなく、今こうして目の前にあるものの希少さや、既になくなってしまったであろうものの多さに気づかされます。

傘の縫製に話を戻しますが、8本骨の傘であれば、まず2枚縫い合わせた物4つをさらに縫い合わせます。そうしてできた4枚縫い合わせた物2つをさらに縫い合わせ、傘の布の部分が完成します。裁断から縫製までは、川口さんに実演してもらったのですが、さすがは熟練の職人!というスピードでミシンがけをし、ものの数分で8枚を縫い合わせていました。集中力と細かな感覚、手間を惜しまない、妥協のない物作りをすることが、monovaで紹介しているあの傘を生むのだと実感しました。

 

もう一つ、それを強く実感した工程がありました。中縫いの後に行われ、傘地の一番石突き側を縫っていく穴かがりという工程です。

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(穴かがり。写真の方は棒を差し込んでかがっていますが、人によっては棒の代わりに親指を入れてかがっていきます。これは好みとのこと。)

この工程だけ、それまでの工程と糸の色が違ったので、なぜなのか質問したところ、

「糸の種類はこれまでのものと同じだけれど、自分が作った傘に責任を持って仕事をしてほしいから、職人ごとに色を変えています」と言われました。製品になった時には金具がかぶって、その糸は見えなくなりますが、そこに自分の作った傘へのプライドというか、思いが隠れていると思ったら…。少なくとも、大量生産品には絶対にないエピソードです。

 

南国屋さんの傘作りの主な工程は、木型、裁断、中縫い(生地を縫い合わせる)、穴かがり、つゆつけ(骨の先端の金具を付ける)、中とじ(骨に生地を留める)、の6つの工程に分けることができると、川口さんから教えてもらいましたが、この他に、骨を組み立てたり、ダボを作ったり、ネームタグをつけたり、という細かい作業もあります。しかも木型に至っては試行錯誤しながら作っていくので、傘作りがどれほど手間のかかるものか想像できると思います。

これまでも、「傘作りの工程は、細かい作業を入れると100以上もある」とは聞いていましたが、正直なところ、ピンときませんでした。しかし、じかに見てみると、これは100以上の工程があってもおかしくない、と感じます。また、国産の傘が分業で作られることがほとんどというのも、納得です。

「本気できちんと作られる傘というのが、どういうものなのか」ということももちろんですが、「傘を本気できちんと作るというのが、どういうことなのか」ということに触れることができました。その工程を見て、お話しを聞くと、素直に感動します。

 

ネームタグをつける位置は、傘の骨の数によって違うけれど、必ず止めた位置が金具と一直線上になるようにしていること。生地の裁断に使う小刀も定期的に手入れしなければならないこと。中縫いなどの手縫いの作業がすぐにできるように、針は作業台の柱に刺せるようにしていること。糸の処理の仕方が、普通の玉留めとは少し違うこと。……等など、他にもたくさん色々な事を教えて下さった、南国屋の皆さまに感謝しています。

お忙しい中、傘作りのほとんどの工程を代わる代わる実演して頂き、なんでなんでと質問する私をあたたかく迎えて下さり、本当にありがとうございました。

monovaスタッフとしても、一個人としても、貴重で素敵な体験をさせて頂きました。

 

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丸安洋傘(南国屋)メーカー紹介