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津軽の工芸をリポート! 新宿に津軽の工芸が集う展示「津軽の伝統工芸と燈」展

現在のmonovaギャラリー展示の主催者は、なんと電気屋さん。しかしただの電気屋と思うことなかれ。津軽の伝統工芸「津軽塗」・「こぎん刺し」・「あけび蔓細工」等を照明器具や電気小物に取り入れ、新しいモノづくりを提案している電気店なのです。青森県の津軽地方には、独特の伝統工芸が残っており、その代表格といえるものが「津軽塗」と「こぎん刺し」です。

 

・津軽塗・

日本全国に色々な漆器の産地があり、それぞれに個性があり美しいのは言うまでもありませんが、その中でも津軽塗は強烈な魅力とインパクトをもっています。

絵付けはなく、漆を塗り重ねては研ぎを繰り返し、48の工程を経て生み出される独特の模様が特徴の「唐塗(からぬり)」と、漆の上に菜の花の種をまいて、無数のまあるい模様をつける「七々子塗(ななこぬり)」という2種類の塗があり、どちらも一つとして同じ模様はありません。

 

そんな津軽の電気が作った、津軽地方の伝統工芸とおなじみの電気まわりのアイテムがマッチしたものがこの製品。

 

スイッチのまわりのアレだ!と、見ればなんだかは分かるのですが、その「アレ」の名前は“スイッチプレート”といいます。

一般的な白い無地のコンセントプレートと並べると、その個性は歴然。漆器というと、和風で豪奢なイメージがある方もいらっしゃいますが、抽象画のような無作為的な柄なので、一般的な洋間でも、ワンポイントとして良い具合に映えてくれるアイテムです。

 

最新の、幅が広くて大きなスイッチ(コスモスイッチ)に対応するものも作っている他、コンセントプレートも作っており、それぞれにカラーバリエーションも赤、呂(黒)、藍、緑の4色があり、「お家に一番にあう子」を探すのも楽しい製品です。

また、取り付けもとても簡単。ご検討の方は、スタッフにお声がけください。工具無し、またはドライバー1本あれば、どなたでもすぐに交換可能です。

 

この他、津軽塗のランプシェードや壁付け照明

 

さらになんと杖、トランク、ヘルメット(!) まで、たくさんの津軽塗製品を紹介致しております。

 

こんなに現代の暮らしと津軽塗が融合している製品が一堂に会することは、monovaでもなかなかありません。一見の価値ありです。

 

会場には津軽塗と並んで、「こぎん刺し」の製品も並んでおります。

 

・こぎん刺し・

最近こぎん刺しは、クラフト系のイベントに行くとどなたかが出展しているほどにポピュラーな工芸になりつつありますが、実は雪国の厳しい農民生活の中から生まれた工芸です。

江戸時代、農民は麻の衣服の着用のみ認められていました。麻はとても通気性の良い素材なので、温かい地域であればよいのですが、冬の北国で、寒さをしのぐにはあまりにも不向きな素材です。そこで、使用が認められていた綿の糸を使って、麻布全体に刺繍を施して、着物を少しでも温かく、丈夫にしようという事で生まれたのがこぎん刺しです。

こぎん刺しの図案にはそれぞれに意味が込められていて、地域によって、また家庭によっても違いがあり、現在は300種以上の図案があると言われています。

 

バッグやアクセサリーの中に、200年前のこぎん刺し(下画像、非売品)も展示しております。先日も、趣味でこぎん刺しをされている方が驚いて写真を撮っていかれました。もとは着物だったというこの生地。驚くことに白い部分が刺繍の部分です。この執念すら感じる細かい刺繍から、麻の着物で過ごす北国の冬がどれほど寒くて厳しいものであったのかが滲んでいます。

 

かわいくて綺麗な幾何学柄で、心の余裕がないと刺せなそう…と思っていたのですが、切実な事情の中で、美しいものを愛し、それを作る心意気を捨てなかった当時の津軽の女性たちの強さや心の豊かさに胸を打たれます。

 

今週末 5/18(土)と19(日)には、monovaギャラリー内で、津軽の工芸に囲まれてこぎん刺しを刺すワークショップも開催します。興味のある方は、この機会に是非ご参加ください。

深い歴史を背負ったこぎん刺しですが、今はアクセサリーもあり、来場する女性の方に人気です!

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この他、今回の展示ではあけびの蔓で編んだランプシェードや、山ぶどうの蔓で編んだバッグもご覧いただけます。

あけびの蔓は、地上に露出しているものはコブや節があるため、わざわざ地中に埋まっているものを掘り出して使ているそう。ただ単に編むのは大変そう、と思っていましたが、まさか材料集めの段階でそんな苦労があるとは。思いもよらない発見が山盛りの、迫力ある展示になっておりますので、みなさま是非ご覧くださいませ!

 

・展示概要・

会 期 : 2019年4月25日(木)〜2019年5月20日(月)

10:30 – 19:00/最終日は17:00迄 水曜定休 ・5/21(火)は臨時休館 入場無料

会 場 : monova gallery

場 所 : 東京都新宿区西新宿3-7-1 リビングデザインセンターOZONE  4階

主 催 :津軽の電気

 

・ワークショップ・

5/18(土) /19(日) ①11:00~/②14:00~(満席)(1日2回開催、約60~90分程度)

参加費:¥1620(材料費込み)※要予約

詳細、ご予約はこちら