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さわやかな器展、開催中です

だんだんと気温が上がり、春の終わりを感じるこの頃。夏がぐっと近づいてきた気がしますね。現在、ギャラリーでは、夏に涼を運んでくるような器を紹介しています。

青を貴重とした展示になっていますが、並んでいるのはすべて萩焼。山口県萩市のメーカー、萩陶苑が製造しているものです。萩焼とは約400年ほど前に今の山口県のあたりに伝わり、現在も脈々と続いている、伝統的な焼き物です。多くの茶人たちにも愛された萩焼ですが、萩焼と言うと、下の写真のような色合いや風合いを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

 

もちろんこれも萩焼。伝統に忠実で、職人の方が一点一点製作しています。一方で、本展示でたくさんの並んでいる青い器もまた萩焼。一見、全く違うテイストに感じられるかもしれませんが、優しい青みと、縁の柔らかい色が、萩焼の優しさを醸しています。萩焼には絵付けがほとんどなく、そういったところでも萩焼らしさが感じられる他、日常使いの色々な器と合わせても、モダンにお使いいただける器になっています。

 

 

<展示の様子>

 

▲mint
NHKの番組「イッピン」でも紹介された器。夏の空のような爽やかな青色の釉薬が目を引きます。縁のピンク色がアクセントで、涼やかな中にもぬくもりを感じられる器です。下で紹介するLemonadeが発売されてからも、変わらず強いファンを持ち続けるシリーズ。Lemonadeにはない、大鉢とまめ椀があります。

 

 

▲Lemonade
昨年度発表されたばかりの、mint の妹のような器です。空の青、というよりは、海の青、といった、澄んだ色をしています。縁の優しい黄色と相まって、こちらも爽やかな器というに相応しい器。これまでのmint好きが目移りするほどの、強い魅力を持っています。mintにはない、ペアのボウルがあります。ちなみに、mintやLemonadeは一定の品質を保ちつつ量産を可能にするため、機械成形などの技術も利用していますが、仕上げは人が一つ一つ手作業で行っています。

▲mintとLemonadeの色の違いはこんな感じです。

 

 

▲そら
底にたまった釉薬に光が当たると、貫入(上の写真でヒビのように見えるところ)がきらきらとします。貫入とは、貫入は釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉薬のひび模様のことで、割れる時のひびや傷とは異なります。貫入は、一種の装飾とみなされていて、器を鑑賞する時には、この貫入も表情として重要な見どころとなっています。mintとLemonadeでは、貫入は目立ちませんが、この、そらのシリーズでは、貫入の具合をよりはっきりと見て取ることができます。ギャラリーで、貫入にライトが当たった様子を見て、感動される来場者の方は多いです。
萩焼は、貫入にお茶の成分が少しずつしみていくことで、徐々にその風合いを変えていきます。これは「萩の七化け」とか「茶慣れ」と呼ばれるもので、萩焼が茶人に愛されたゆえんでもあります。もちろんmintやLemonadeも茶慣れしていきますので、だんだんと「自分だけの器」に育っていきます。それも萩焼を使っていく上での楽しみの一つです。

 

 

▲フリーカップ
ギャラリーでは、全体の雰囲気に合わせ、青系の色のカップをチョイスしています。深い青色のカップの名前がわたつみ、薄い青色のカップがさざなみです。どちらも会期中、多くの方が手に取られている、人気のさわやかな器。何にでも使いやすい大きさで、日常使いの第一群のカップになってくれる器です。

 

陶器というと、「素朴」「ぽってり」「あたたかみ」などの言葉が連想されがちですが、そこに爽やかさが加わった器たちは、涼しげで夏もよく似合います。夏の器といえばガラス、と考えている方も、一度ご覧になってみて下さい。「これにはおそうめんを盛りたい…!」「この器には季節の天ぷらもいいかも」「食欲のない夏の朝の朝食も、この器ならスッキリしそう!」など、頭の中が、萩焼を使いたいシーンでいっぱいになること間違いなしです。

 

会期は今月の5日(火)までです。ギャラリーでの展示は残すところわずかとなってしまいましたが、今後もmonovaではmintをはじめとする萩陶苑の陶器を、通常ブースで展示していきますので、これを機に興味を持ったという方は、会期後でも是非お越しください。

もっと製品の細部が見たい!という方、遠くて新宿まで行けないというかたは、下のリンク(製品写真)をクリック/タップしてみてください。製品のサイズ感や細かい部分が分かるように、撮影、採寸しております。併せてご覧になってみてください。