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2019年6月28日

進化する秩父太織 展のご紹介

7月2日(火曜日)までmonovaのギャラリースペースで開催中の、「洗えるシルク~進化する秩父太織~ 展」

秩父太織、Magnetic poleが手がける布がどのような布かご紹介したいと思います。

 

≪絹の素材について≫

蚕(蛾の幼虫)がサナギになるときに作り出す繭玉から作った繊維が絹糸です。
繭は1本の繊維(約1,200m前後)で構成されていて、天然の繊維の中では一番長い繊維になります。人間の肌と同じたんぱく質でできているため、肌に優しく、表面温度を一定に保ち吸湿性にも優れています。夏はサラッと、冬はふわっと温かく肌を守ってくれる非常に優れた繊維です。

秩父(埼玉県)は山に囲まれた地形で、水はけがよく蚕の大好物である桑が良く育つため養蚕が盛んな土地でした。絹織物の産地としても知られています。「秩父銘仙(ちちぶめいせん)」という着物の名前をご存知の方も多いのではないでしょうか。

秩父銘仙は国の伝統的工芸品にも指定されています。鮮やかな色、大胆な絣風の柄をイメージする方も多いのですが、実は秩父銘仙には「秩父太織り(ちちぶふとり)」と「秩父ほぐし織り」の2種類があります。

▼秩父太織り(ちちぶふとり)は、江戸時代に養蚕農家が出荷できない規格外の繭を使い、野良着として使用していたことがルーツとなります。

無地や縞・格子柄のシンプルな織物ですが、糸が太く、丈夫で堅牢。タテ糸・ヨコ糸ともに撚りをかけず、ふわっと織り上げた生地で、使い込むほどになめらかで光沢が増します。

▼秩父ほぐし織りは、鮮やかな織物で、明治~昭和初期にかけて女性の間で流行しました。仮織したタテ糸を型染めで柄を付け、仮織をほぐして、ヨコ糸をいれて織っていきます。

昔は日本の各地で養蚕が盛んにおこなわれていましたが、現在その件数は激減しました。

国内に出回っているシルク製品のうち、国産の繭で作られたものはわずか0.3%となっています。

例外でなく秩父も、養蚕農家の件数は減り続けています。そのなかで、秩父の伝統織物と養蚕や糸づくりの技術を残すべく、新しい布づくりを行っているのが「Handweaver Magnetic Pole」です。

Magnetic Poleは、石塚工房にて織物を学び、伝統工芸士の資格を所有する代表の北村久美子さんと、秩父とスウェーデンで織物を学んだ南 麻耶さん、家業の養蚕農家を継いだ久米悠平さんの3名を中心に、糸作りから布までを手仕事で一貫生産している工房です。100%秩父産の繭を使い、秩父の織物の歴史を現代に活かした布づくりに励んでいます。

ちょうど6月~7月にかけて、糸引きのシーズンです。

「座繰り(ざぐり)」と呼ばれる糸車を使い、繭から糸を引き出します。繭を熱いお湯にいれると、表面から糸口が浮いて出てきます。80~100個の繭の糸を引き合わせて、巻き取ります。

絹糸と聞くと、光沢があり柔らかいイメージを持つ方が多いと思いますが、実は、引いたばかりの糸(生糸)は固くシャリシャリとした触り心地です。これは糸の表面にセリシンというたんぱく質がついているためです。(夏の帯や着物には、このシャリシャリとした糸を使うことがあります)
▼写真の上段が精練前の糸で、下段が精練後の糸です。

通常、機織りをする場合は、

糸に撚りをかける → 石鹸で煮てセリシンを落とす(精練)→(染色)→ 糊をつけて機に糸をセッティングする

の順番なのですが、Magneic Poleでは糸に撚りをかけず、セリシンがついたまま機織り → 布の状態で精練を行っています。こうすることで、糊付けの工程を省くことができるのです。

タテ糸に撚りを全くかけないというのは、日本中の織の産地の中では非常にめずらしいことです。

スウェーデンの機織りの特徴を取り入れた、Magnetic Poleオリジナルのワッフル織の布は、通気性がよく、速乾性があり、糸に撚りがないため洗濯機で洗うことができます。撚りのない糸は肌なじみがよく、素材本来の手触りの良さを最大限活かしています。

▼ウォッシュタオルは洗顔・ハンカチ・ボディウォッシュなど様々な用途に使えます。このタオルを40~50℃ほどのお湯に浸して絞り、顔に当ててスチームしてふき取ると、お肌もさっぱりツルツルに。

▼レースの織模様の透け感のあるショール。染は埼玉県寄居町の染工房「きぬのいえ」オリジナルのオーロラ染め。独特の柄模様が特徴で、手作業で布を1枚ずつ丁寧に染めています。

▼摩擦堅牢度にも優れている生地なので、インテリアファブリックへの活用も可能です。

展示の会 期 は7月2日(火)15時まで。
ぜひ、秩父の伝統織物の若き担い手たちの活動をご覧いただきたいと思います。

また、秩父の伝統織物に興味を持った方は、ぜひとも「ちちぶ銘仙館」に行ってみてください。
織物の歴史や仕組み、布づくりの工程が非常にわかりやすく展示している素晴らしい施設です。

ちちぶ銘仙館・・・http://www.meisenkan.com/

 

Written by Fujimoto